森茉莉という快楽 /贅沢貧乏の美意識


『贅沢貧乏』。
高校生の頃、同じクラスのひろさきくずみに、「りーあさんの将来を見ているようだわ」と薦められた。

私は、『枯れ葉の寝床』で、文章の魔力にくらくらする一方、しょうもない美少年と美中年の濃厚な世界に、困惑していた。ボーイズラブ小説の草分けである。今のボーイズラブ・やおい小説のような露骨な描写は無いが、雰囲気が激しく露骨であった。露骨な描写は単に露骨な描写でしかない。エロティシズムは、別の所にある。脳の中である。森茉莉はそれがよくわかっていた。

私は、貧乏は懲りている。贅沢したいとは言わないが、貧乏暮らしはストレス暮らしだ。

『贅沢貧乏』は、貧乏臭いのが嫌いだが勤勉も嫌い、とろけるような怠惰と独自の美意識で日常を『私の美の世界』と化す、森茉莉の生き様であった。

森茉莉は必読である。が、長い小説やエッセイを読むのは面倒、という横着な人々にも朗報だ。

森茉莉のエッセンスを集めた森茉莉語録、『マリアのうぬぼれ鏡』という文庫本が有る!

筑摩文庫の紹介文、以下。
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「女というものにとって、うぬぼれ鏡と、褒め手とは絶対に必要なものである」「濃い薔薇色の、縞のある敷布と、深いオリイヴに薄茶の小もようのある掛けぶとんとの中に、私の天国が、あった」…毒舌とユーモアだけにあらず、好悪の精神とそれを表現しきるレトリックの芸は追随を許さない。どこから読んでも刺激的な、極めつきの森茉莉語録。文庫オリジナル。

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語録が取っつき難いと感じる人には、『贅沢貧乏のマリア』(群ようこ著)があります。角川文庫の紹介文、以下。
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昭和62年、安アパートの自室でゴミの山に埋もれて孤高の死を遂げた作家森茉莉。父森鴎外に溺愛された贅沢な少女時代。結婚、渡仏、離婚などを経て自立。 54歳で作家となり、独得の耽美な小説世界を発表した後半生の貧乏ぐらし—。「精神の贅沢」を希求し続けた84年の生涯の頑なで豊かな生き方を、人気作家群ようこが憧れとため息をもってたどっていく全く新しいタイプの人物エッセイ。
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携帯世代にも読みやすく、群ようこが案内してくれます。群ようこの人生観も織り込まれて、笑えます。


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「私にとって『贅沢貧乏』の茉莉は憧れの人であった。でも今回、結婚生活という、他人や他人の家族とかかわりあう話を読んでみて、私はこの人とはお友だちにはなれそうもないなと、ちょっと感じはじめたのである。」(『贅沢貧乏のマリア』より)
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才能深い人は意外と付き合いにくいものです。
群ようこさん、そういうところも受け入れないと(笑)。
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by leea_blog | 2009-06-19 22:32 | Comments(0)
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