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赤い葡萄酒とローレライ伝説。東方の夢。

聖誕祭ということで、久々に血の如く赤い葡萄酒を飲み耽っている。

心地よく酔った。

基督の血、赤葡萄酒で酔いが回り、血行が良くなって人並みの気力が出た私は、思い切り「ローレライ」を口ずさんだ。なんで「清しこの夜」じゃないのだろう。そうだ、ワタクシは異教徒だからだ。

異教徒は基督教以前の神々を讃えるのである。
ついでに吉利支丹の皆さんの弾圧の歴史にも敬意を表する。
神が殺される話は、異教徒的に大変共感できる。

そして、聖人聖女の皆さんが拷問を受け、公開処刑されてローマ市民の娯楽となった凄まじい歴史も、共感できる。まことに葡萄酒は私の愛するディオニュソスの賜物である。異教の基督教徒にも共感できちゃう。

ところで、葡萄酒を造るさい、収穫した葡萄を素足で踏んで潰した。
単純労働なので中々辛い。で、吟遊詩人が即興で同じ節に異なる歌詞をつけ、歌い、それに併せてリズムよく葡萄を、娘達が踏みつぶした。

昔、録画されたそのワンシーンを見たことがある。
ホメロスの「ムーサよ、歌え」同様、私の心の故郷に激しく訴えた。

録画技術が有る時代でも、ディオニュソスを讃え、素足で葡萄を踏みつぶし、北欧のエルフのいくさの舞いさながらに、詩人が即興で歌い続けるのだ。血が騒がないわけがない。知っていたけど見たことがない物の一つだった。

私がギリシアを訪れたさい、地元の音楽屋をしらみつぶしに回って、置いてないか聞いたのは、アポロンを讃えるイエーパイアーンの歌と、ディオニュソスを讃えるティチュランボスだった。「知らない?ギリシアでは有名な古典ではないのか?」と落胆する私に、「あんた学校の先生か」と突っ込みが。ううむ、外人が日本の通行人に信長が舞った「敦盛」の売り場を聞いたり、源氏物語の詳細を聞いたりするのとおなじことだったのだろう。

古代のアゴラで、日向ぼっこする亀をひっくり返し、自分も仰向けに古代の大理石に身を横たえて和んだあの時間が戻ってくる。

は〜れるや、はれるや、はれるや、はれる〜や。
by leea_blog | 2009-12-24 23:02 | Comments(0)
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