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桜の盛りの、謎のバー/20歳未満閲覧禁止その2

そんなこんなで、
有るか無いかわからないハプニングを求めて、
酒を飲みに来る人の為の会員制バーが、存在する訳だ。

端的に言うと。
単なるHシーンなら、これもワタクシには縁が無いが、
デリバリーヘルスとか、援助交際とか、まぁ、世間にはある訳だ。

ハプニング?
ぞろぞろ入ってきた、なぞの一団、和服の女性たち連れ。
酒が回るにつれて、
その中の安土桃山風女性がたち上がり、
テーブルに片足を掛けて演説を始める。

「浮き世の憂さを晴らそうとお集まりの皆様。
お聞き下され。
このワタクシ、新聞ネタのレベルの不正経理に巻き込まれ、
事実関係を捏造されて、怒りはほとんど殺意に高まっております。
しかしこの国で私刑はご法度。
憂さを少しでも晴らし、皆様の罪もついでに償って差し上げたいと思っております。」

ここで、黒ビールを少し飲む。

「皆様の内で、過去、我が身可愛さの為に他人に罪を着せたご経験のある方。
そうした方がおられましたら、この機会に身体で罪を受け止めれば、
来世に悪業を持ち越す心配も、無くなるほどではありませんが、
少なくはなりましょう。
跪いて罪を懺悔し、その罪の重さに応じて、
アイスピックを鼻から突き刺す、
顔の形が変わるまで膝蹴りをくらわす、
耳をそぎ落とす、等の功徳を施します。
ご希望とあらば、簀巻きにして夜のダムに放り込むサービスも考えております。
我と思わん方は、どうぞご遠慮無くお名乗りあげを。
罪業消滅、六根清浄!
かく申し上げるワタクシは、隠れ王国ゴンドリンの、通称銀の足でございます」

しばらくの沈黙の後。
おずおずと名乗りをあげる男達数名。
一人が拝跪しつつ言うには、
「長年この機会が来るのを待っておりました。
今宵、いかなる導きか、このバーに居合わせました事を、
天を仰いで感謝申し上げます」


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上記は、ワタクシが期待するハプニングである。

勿論、そんな現実は無い。
バーはバーであって、流血シーンがあれば警察に通報されてしまう。

そうしたわけで、
ハプニングは、ワタクシの同行者の美意識に裏打ちされた、
ごくまともなものであった。

間違っても、以下は無い。
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「同志諸君、静粛に!
今から作者名を伏せて、詩歌俳句の朗読を開始する。
誰の作品か言い当てられなかった者は、
罰として逆さに吊って灰皿で殴打する。
言い当てられた者は、褒美として
中世に実際行われた拷問を、この場で体験する機会を与える!」

「えぇ〜?
詩だと、あの人が暗唱してるのは見当つくが、
短歌俳句はわからんなぁ」
「松尾芭蕉とか与謝野晶子とか誰でも知っていそうなやつから始めてくれないかな」


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  ↑
無い、無い。

まぁ、ワタクシがしみじみ思いを巡らしたのは、
有るか無いかも分からず、内容もわからないようなハプニングを求めて、
単独で訪れる男性客の心の内。

店のショーや接客のおねいさん(あるいはお兄さん)では、
埋めきれない心のすき間があるからこそ、ニーズがあるのだろう。

重度の精霊フェチや、
その他の一般的ではない趣味の人たちが、
行き当たりばったりで楽しむ場では、無い。

「何か良いこと無いかなぁ〜」と期待している青年、君にはもっと別の場が有るだろう。

が、ボディーガード同伴でなら、人の心のすき間を眺めたり、
人の世の滑稽を肴に、自分を見つめたりするには、
良い経験だったと感じている。

次号【揺蘭】では、ネットに流せない過激なレポートを鳩宮氏が書くかも知れない。
by leea_blog | 2010-04-08 22:27 | Comments(0)
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