辰巳泰子氏の『へいけうたのあかり』壇ノ浦篇も近い事だし。。。。。。
と、やはり触れておこう、本題には全然関係ないが、 『壇ノ浦夜合戦記』。 陽の有る内の戦は終わった。 夜の合戦がこれから始まる、というお話だ。 現代では『二次創作物』、つまり既製の物語の熱烈なファンが、 噴き上げる愛情の使い方を思いきり偏らせて、 本編では語られなかったストーリーを勝手に作成した代物、が流行っている。 それらの大半は、H系である。 昔の人も、大いにその手の事を喜んだ。 壇ノ浦で平家が滅んだ。いやちょっとそれで終わらせていいのか? 良くない! ということで、例を挙げれば竹田出雲の『義経千本桜』。 いやもう、凄いんです。 そのぶっ飛び方といったら、ゆりうたでも過去言及しているが、 死んだと思われていた知盛や安徳帝や維盛や教経が、 実は身をやつしてお家再興の機会を狙っていたりするんです。 そこまで砕けなくとも、謡曲も、二次創作の範疇に入るだろう。 『創作』ではなく、歴史上の人物を語り直すのだ、って? 歴史と言っても、「物語」の一つだ。 史実と仮説と定説と、「と、推定される」、「と、考えるのが妥当」の話の堆積なのだ。 大体さ、卑弥呼が魏志倭人伝の創作だったらどうすんの? 役人が取りあえずやっつけ仕事に資料の辻褄合わせしたのだったら? 遺跡発掘の「神の手」事件を思い出すまでも無い。 おっと、話がずれた。 そのような訳で、二次創作は昔から愛された。 H系の二次創作作品は、現代限定の事ではないのである。 話を戻すと、『壇ノ浦夜合戦記』という江戸時代のHな二次創作物が有る。 壇ノ浦の合戦で、一門の人々は海に身を投じた。 安徳天皇の母、平清盛の娘、建礼門院、平徳子というお人がいて。 この人も海に身を投じたのだが、源氏の船に引き上げられた。 源氏の大将軍、源義経という、有名な男がおり、夜になると捕虜の建礼門院に関係を迫る、という、 実にありがちなお話だ。 期待して読むほどの物ではない。。。。。 設定やシチュエーションに無理がありすぎて、萌えない。 ケチをつけるだけではつまらないので、良いところを書こう。 江戸時代の『二次創作物』を、現代人が更に創作して『三次創作物』と化している本が家に眠っている。 昔、古本屋で買ったのだ。 原文の次に現代語訳が掲載され、上手いとは言いがたいH な挿し絵がふんだんに盛り込まれている。 実家から引き上げた本の中にこれを見つけ、再読してみた。 「壇の浦夜合戦記」 林春海訳(多分)。 現代語訳をざっと読んでいる内、ワタクシは 「ちょっと待て! そういう話では無かったはずだ!」と叫んだ。 もっと、「無理、無理、無理。んな訳無いでしょ」な設定だったはず。 慌てて、原文を読んで見れば。原文にはそんなこと全然書いてないようなストーリーが、 【現代語訳】として、涼しい顔で長々と語られているのだった!!!!!! 現代語訳部分だけ読めば、立派な「三次創作」だったのだ!!! 訳したふりして、しっかり新たな創作をしてしまっているのである。 コミケで売っている同人誌かぃ! 良かった点がある。原文の、「無理な設定」を、頑張って「ありそうな設定」に直している事だ。 そして、平家物語への、「愛」があった! さて、『壇ノ浦夜合戦記』の無理な所は、まずは、高貴な虜囚、建礼門院の心の内であろう。 一門を滅ぼされて、海に身を投じたのに引き上げられて虜囚の身、わが子安徳帝も海の藻屑となった夜に、酒を飲んだからといって敵将で思いきり身分の低い、義経と楽しくやれますかいな。 そう、強姦に及んだのではなく、合意の上のHという話なのだ。 無理だろ。 気が触れた所をショック療法のつもりで強姦してしまったとか、そういう話ならまだしも。 おまけに、建礼門院の侍女達も、義経の部下たちとよろしくやっているから、余計無理。 さて、現代語訳の方は。 入水した平知盛(平家の実質的な総大将である)の妻が、建礼門院に囁くのである。 我が一門は皆泳ぎ達者、だれが東の山猿どもの手にかかりましょうぞ、と!!!!! 平宗盛父子(平家の名前だけ総大将。足は引っ張っても役に立たない)が入水後もしばらく泳いだあと囚われたのも、敵の眼を引きつける為だったというのだ!!!! そして。安徳帝その他一門の公達は、源氏方に偽装した味方の船で落ち延びて、生きている、というのだった!!!! そして、このさいは、いかなる恥を晒そうとまず生き延びなければならない、お家再興の為、と、建礼門院を励ますのでありました!!!!! マジですか〜。 林春海さん、平家の皆さんに生きていて欲しかったんですね????? といいますか、これ、「現代語訳」と言いながら、訳じゃないじゃん。 全然別の話を作って、「訳しました〜」と言っている訳ですよね。 なんといういい加減な! いい加減というより、「嘘八百」ではないか〜。 こんな大胆な事が許されるのか。。。。。。。 うむ。しかし、これなら、建礼門院が義経との合意の××を致すのも、まぁ、有りそうである。 ワタクシとしては、その後の平家一門の話が読みたい。 「義経千本桜」とはまた違った展開を、林春海氏に期待する。 「平家一門の逆襲」とか、「復活の平家」とか、「無敵超貴族/平家ファイブ」とか、馬鹿馬鹿しくも愛に溢れた作品が出来そうだ。 敵の、悪の組織が鎌倉幕府で(笑) 頼朝が、死ね死ね団のテーマまがいの音楽をバックに登場する、とか。 危機に陥った安徳天皇が草薙の剣をかざして歌うと、海の底からモスラみたいなのが助けに現れる、とか。 いいなぁ。ロン毛の幼帝、安徳さまの祈りに答えてやってくる怪物。映像的にも素晴らしい。 さらに、ところで! ポルノ映画にも、確か、むか〜し、『壇ノ浦夜合戦記』というのが有った。 見に行ったのかどうか、憶えていない。 がっかりした記憶があるから、何かできっと見たのだろう。
by leea_blog
| 2010-05-18 22:54
|
Comments(0)
|
カレンダー
HOME
最新のコメント
最新のトラックバック
以前の記事
ライフログ
検索
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||