『中原中也との愛 ゆきてかえらぬ』を読んだ。
長谷川泰子/村上護編 ------------------------------------------------------------------- 女優志望の泰子には、16歳の詩人中原中也との運命的な出逢いがあり、さらに評論家小林秀雄との壮絶な出逢いと別れがあった。「奇怪な三角関係」(小林秀雄)といわれた文学史に残る伝説の“宿命の女”長谷川泰子が語る、衝撃の告白的自伝。「グレタ・ガルボに似た女性」としても注目される。昭和初期の文壇を知る資料として貴重な一書。 背表紙紹介文より ------------------------------------------------------------------- 長谷川泰子の語りを村上護がテープにとり、文章に起こして、中也の詩や書簡、関係文人のエッセイ等を混ぜ合わせながら本にしたものだ。 衝撃の告白的自伝とあるが、衝撃というほどの事はなかった。 長谷川泰子の淡々とした語りのせいもあるかもしれない。 中也との事よりも、小林秀雄との話が印象に残る。 潔癖症をわずらった泰子と、献身的な小林秀雄。 そして、別れ。 仕事らしい仕事もせず、何とか暮らして行った泰子に驚く。 ------------------------------------------------------ 私が修業をおえて山を降りたときは、五十五歳になっていました。会社なら定年の年なんでしょうが、私はその年から自分一人で生きてみようと考えました。ルンペンやってみようかなとも思ったけれど、それも難しいから、ビル管理人になったんです。(222頁) -------------------------------------- 文壇のゴシップよりも、私は上記↑の話の方が印象的だ。 いかに生きて行くか。 時間の切り売りをせざるを得ない現代。一方で、引きこもりやニートの問題があって、働かなくても今日一日を生き延びてゆく人も増えている。ただし、それは幸福な事ではない。 はからずも生きる、という事の『実践』を、考えてしまった本だった。
by leea_blog
| 2010-11-28 16:02
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