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    グアテマラ伝説集/M・A・アストゥリアス

岩波文庫の【グアテマラ伝説集】。

年末年始のヒット本は、これだった。

かつて、【ラテンアメリカ五人集】という本で、このグアテマラ伝説集の一部が掲載されていた。

神話伝説の本とは違う。
グアテマラの伝説を元にした、魔術的リアリズムの散文詩である。

 M・A・アストゥリアスの他の作品も読みたい!
が、流通していなかった。

今になって調べれば、ハードカバーで出ていたらしい。
ただ、絶版だった。

岩波文庫で【グアテマラ伝説集】が出ている事を知って、楽天で即購入。

火山の伝説を以下に引用してみよう。



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ニドは自分の仲間が風にさらわれ、水面の彼らの守護神が火にさらわれて、
ともども、稲妻に乗って天から落ちてきたとうもろこし畑のかなたに
消えてゆくのを目にした。

そして一人ぼっちになった時、彼はあの「言葉」
ーある世紀に、幾世紀も続いた一日があったー
を生きたのだ。

始終真昼である一日、夕暮も曙もなく澄みわたった、無垢の結晶の一日。

    (M・A・アストゥリアス
    グアテマラ伝説集より「火山の伝説」)
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ーある世紀に、幾世紀も続いた一日があったー。。。。。。

本から目を上げて、思わず遠くを眺めてしまう。

出会いたくて出会った、奇跡の一冊。

が、正直、火山の伝説があまりに凄くて、他の作品は、「おまけ」にしか見えなかった。

すまぬ、けなしているのではない。

スケールの大きい、結晶化された、散文の形の詩心。

オススメ本である。
by leea_blog | 2011-01-20 19:55 | Comments(2)
Commented by 双子の星笛宮 at 2011-01-21 18:26 x
ある世紀に、幾世紀も続いた一日があった・・・美しい!めまいがします!
始終真昼である1日、夕暮れもなく澄み渡った無垢の結晶の1日・・・グアテマラにはこういう事を言え、散文詩に書ける人がいるのですね。
魔術的リアリズム・・・これこそわが望みです。
Commented by leea_blog at 2011-01-21 20:40
双子の星笛宮様
めまいがするほど凄い作品でしょう? 是非ご一読を。
ちなみにノーベル賞作家ですので、世界的にはメジャーな作家と言えます。

魔術的リアリスムといえば、貴作品も日本の魔術的リアリスムですね。

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