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旅人脳の不思議。読書運の不思議。

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壁ぎっしりの、あまたの仏たち・台北

帰国してから、
ネットでとある動画をみていた。

見始めてから、少し経って、
登場者が英語でしゃべっているのだと気づいた。

私にとって、英語は、
「わからない言語」に入っている。

見始めて少し経つまで、
大体脳が理解していて、
異国語だと気づかなかったのだ。



これは、「旅人モード」がまだ作動しているためだ。

旅人モードとは。

旅をする為に、
普段使われていない脳が、
普段働いている脳と、

車の運転を替わるようにして、
交代したモードである。

普段活動している脳は、
見事に活動を休止する。

旅人モードの脳は、
郷に入れば郷に従えを実行し、
人類が世界各地に散らばっていった時代の名残のように、
生物として健全な働きをする。

私にとって異国への転地療養が、
絶大な効果を発揮するのは、

この旅人脳との運転交代の為かもしれない。



私の英語能力は、猿並みであり、
日本国内では、
英語など理解出来ない。

が、異国では、
ホテルを取ったり、
移動したり、
道を聞いたり、
理不尽な事には苦情を言ったり、
必要最低限の事は、行う。

動物のように、気配を察し、
危険かそうではないかを判断する。

旅人脳は、
自分の意志では起動出来ない。

団体旅行の時も、起動しない。

不思議だ。

これは、私だけの能力ではなく、
旅人たちと話すと、
かなりの人が旅人脳の起動に依って、
旅を遂行している。


旅人脳と言えば、

今集中的にミラン・クンデラを読んでいるが、
進んでいない。

読み返したり中断したりして、
考え込む事が多いのだ。

つまらないのではなくて、
面白過ぎて進まないのだ。

ミラン・クンデラがメインの酒だとすると、

その味わいを深める為に合間に飲む水、
チェイサーとして、

パウロ・コエーリョの
「ザーヒル」を読んでいる。

パウロ・コエーリョの中では、
私は一番面白いと思う。

パウロ・コエーリョは、
「アルケミスト」と「星の巡礼」、「ザーヒル」を読めば、
特に他は要らないと思う。

以下は過去日記でアルケミストを紹介した文。
「旅人の時間が日常に流れ込む」

http://leea.exblog.jp/4575995/

私の読書運の不思議さは、
旅人脳の不思議さと同じだ。

チェコの亡命作家、
ミラン・クンデラの描く世界は、
大国ロシアに理不尽に制圧された故郷が下地になっている。

たまたま内容も知らずチェイサーとして手に取った、
パウロ・コエーリョの「ザーヒル」にも、
主な登場人物に、
ロシアに制圧され、
辛苦をなめたカザフスタンの青年が出てくる。

強大な大国に依る、
圧倒的な理不尽。

踏みにじられた、祖国。

ミラン・クンデラは、その語り口が、
クンデラ氏の居間に招かれて語り合っている心地がするのだが、
ザーヒルも、他の作ではそうではなかったのに、
コエーリョ氏の居間で討議をしている心地になる一冊だ。

クンデラの作品には、
好色な登場人物が出て来る事が多い。
ザーヒルの主人公も、
結婚しても「人生の冒険」と称して浮気をやめない。



ザーヒルの内容を知っていてチェイサーにしたのならともかく、
取り敢えず買った「積ん読本」である。

まるで、好みを伝えてソムリエに選んでもらったかのようだ。

コエーリョの作品は、
簡易なのでチェイサーに選んだのだが、
簡易な文体ながら、

ザーヒルは予想に反して、
考え込んだり同意したりする事が多く、
たったの一冊がなかなか進まない。

引用したい頁に紙を挟みながら読んでいる。
コエーリョの作品では、はじめてこんな事をやった。

こういう偶然は、実は私にはよく有る。

私は幻想文学系であって、
スピリチュアル系とは根本が違うのだが、

多分、世間から見れば、
同じようなものに見えるかもしれない。

そして、旅人脳や読書運の不思議さだが、

それは、人間が動物としての感覚を持っていた頃は、
過酷な自然の中で生き延びる為、
皆が持っていた能力に、
源を発すると思っている。


私にとっての「詩」も、
太古に集落の祭祀者が持っていた能力の一つだ。








by leea_blog | 2016-05-28 22:22 | Comments(0)
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