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俳句という遊び—句会の空間—/小林恭二

わたくしの部屋は、書物が山積みで、石筍空間となっている。

整理も含めて、書物の再読にも力を入れている。

今回の再読書は、小説家の小林恭二(三島由紀夫賞をとっている作家である)の俳句案内、「俳句という遊び—句会の空間—」である。

昔、これを読んでわたくしは、句会や吟行のある俳人、歌会のある歌人を、うらやんだ。

現代詩でこれは出来かねる。
敢えて言うなら現代詩では、合評会がこれに近い緊張感と遊び心を味わえる。

が、現代詩では合評会は重要視されていない。誤解を恐れずに言えば、合評会は『勉強中の詩人の為の物』のような扱いである。輝かしい詩歴の持ち主は、講義ならやるが合評なんてちゃんちゃら可笑しい、ということだろう。

ちょっと待て。
お高くとまって、文学の愉しみを遠ざけていないか。熟練者ほど、生の感想のやりとりは貴重な機会になるはずだぞ。そうした意味も含めて、詩人にも読んで欲しい一冊だ。



小林恭二の本に戻ろう。
プロローグで、俳人の間でもまっとうな句会はほとんど催されていない現状を語る。広義の句会は今日も広く行われている。

広義の句会とは、たとえば公民館の一室で、上座に先生がデンと座り、周りを幹部と称されるお歴々が固め、一般俳人は小学校の生徒みたいに、もしくはスターリン時代の査問委員会に呼び出されたモスクワ市民みたいに、はしっこで小さくなっているような光景から始まる句会。



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では、めったにない、そう、俳人だってあまりやらない「まっとうな句会」とはどんなものか?
答はとても簡単である。
俳句を媒介にして、日常とりえないような高度で玄妙なコミュニケーション(=遊び)をとれるような座、そういうものをまっとうな句会という。

   (小林恭二 「俳句という遊び」より/岩波新書)
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そうした、まっとうな句会を開催して、一部始終を提示したのが本書である。

俳句に関心の無い人も、参加している気分で楽しめる内容だ。

俳句にとどまらず、文芸とは。文学とは。
そうした事を広く考えさせられる。
1991年に出た本だが、いまだに柔軟で新鮮な、愛ある一冊である。
俳人以外の人にも、強くオススメである。
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by leea_blog | 2011-01-23 19:19 | Comments(0)

    グアテマラ伝説集/M・A・アストゥリアス

岩波文庫の【グアテマラ伝説集】。

年末年始のヒット本は、これだった。

かつて、【ラテンアメリカ五人集】という本で、このグアテマラ伝説集の一部が掲載されていた。

神話伝説の本とは違う。
グアテマラの伝説を元にした、魔術的リアリズムの散文詩である。

 M・A・アストゥリアスの他の作品も読みたい!
が、流通していなかった。

今になって調べれば、ハードカバーで出ていたらしい。
ただ、絶版だった。

岩波文庫で【グアテマラ伝説集】が出ている事を知って、楽天で即購入。

火山の伝説を以下に引用してみよう。



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ニドは自分の仲間が風にさらわれ、水面の彼らの守護神が火にさらわれて、
ともども、稲妻に乗って天から落ちてきたとうもろこし畑のかなたに
消えてゆくのを目にした。

そして一人ぼっちになった時、彼はあの「言葉」
ーある世紀に、幾世紀も続いた一日があったー
を生きたのだ。

始終真昼である一日、夕暮も曙もなく澄みわたった、無垢の結晶の一日。

    (M・A・アストゥリアス
    グアテマラ伝説集より「火山の伝説」)
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ーある世紀に、幾世紀も続いた一日があったー。。。。。。

本から目を上げて、思わず遠くを眺めてしまう。

出会いたくて出会った、奇跡の一冊。

が、正直、火山の伝説があまりに凄くて、他の作品は、「おまけ」にしか見えなかった。

すまぬ、けなしているのではない。

スケールの大きい、結晶化された、散文の形の詩心。

オススメ本である。
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by leea_blog | 2011-01-20 19:55 | Comments(2)

寒い日の過ごし方/憧れの山手線一周

さ、寒いっ!

当家はロフト付きなので、暖かい空気が高い天井方面に行ってしまい、余計寒い。

読書も、頁をめくる手がかじかんでしまう。

そんな日は、暖かく、読書にうってつけの場所がある。
それは、山手線だ。

そう、ぐるっと円環状に運行している、山手線に乗るのだ。
シートの下から暖かい空気が出てくるし、電車の中の読書は身が入る事でも名高い。

いそいそと部屋着にコートを引っかけただけの姿で、山手線に向かう。
かばんには、ご恵与頂いた詩集が入っている。

池袋で乗り、そのまま乗り続けると池袋に戻ってくる。

私のような、電車を図書館としている、本来の使い方ではない不心得者が他に居ないか、さりげなく車両を伺う。

他の車両はチェックできないので不確かだが、山手線を図書館代わりに使っているのは思ったより少数で、私だけのようだった。みな、一周も乗らずに途中駅で降りてゆく。
その活気も、微妙に心地よい。

かつては、孤独なお年寄りやホームレスの時間潰しのように言われていた、山の手線一周。
夏は暑くて冬は寒い陋屋住まいの詩人の、密かな避難場所。

交通機関の本来の使い方では無いので、お薦めはしないし、そんな人が増えても困る。

じんわりと暖まりながら、こっそり、ひっそり、詩集をひも解くのであった。
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by leea_blog | 2011-01-15 17:05 | Comments(0)

幻想詩人のグチ日記

あっという間に正月気分は抜け、走り出している新年。

ところで、頂いた年賀状で、以下の、貴重なご指摘を頂いた。

【ブログでグチが多くなってきましたよ。
創作の時間がとれていないんじゃないかな】

うゎああああぁぁぁぁぁ。

知らない間に、グチ日記と化していたらしい。

そうだ。
私は生活力が無い。
経済力も無い。
世俗の捏造に耐える力も無い。

過去の作品(特に絵画)を保管するだけの経済力すら、無い。
平面作品を新たに作るスペースも無い陋屋に住んでいる。

今の仕事にしがみついている限り、
創作の時間など、無い。
やりたい事が出来ないどころか、
管理職クラスから事実関係をまことしやかに捏造されて、
北朝鮮に拉致された気分だ。
押し潰されそうだ。
死んだ方が楽だ。
来世で裕福な階級に生まれて、やり直すのだ。

と、マイナス思考で一杯でございます。

もともとはプラス思考の、戦闘的前向き姿勢の持ち主のワタクシは、
職場の金銭絡みのトラブルで、
理不尽のどん底にたたき落とされているのでございます。
保身のために事実関係を捏造しちゃう人たちに出くわしてしまったのでございます。
耐えられない。殺意しか湧きません。


昔の私小説系の作家たちは、
グチも作品と化した。
貧困も、女に捨てられる話も、投獄された経験も、創作のネタとしたのであります。

ワタクシも、転んでもただでは起きず、
グチもネタとして、
幻想詩人のグチ日記、とでも開き直ろうか。

読者諸兄は、幻想詩人などというマイナーな中にも更にマイナーな人種が、
理不尽な世界と折り合いをつけられなくてあがく様を研究なさると良い。
おのずから、自らの身の振り方も浮き上がってこよう。

ワタクシは「大丈夫」な振りはもうしない。
なぜなら、単なる強がりや中身の薄い楽天主義はグチにも劣るからである。
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by leea_blog | 2011-01-09 15:38 | Comments(0)

年の初めの

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改めて、謹賀新年。

良い年の初めを迎えられたであろうか。

私は、静かな年の瀬、楽しい新年を過ごしている。
元旦は、当家は年始に集まる習慣が無い。
幼なじみの人妻が正月の宴に誘ってくれた。

料理屋さんに頼んだこの豪華なおせちを見よ。
アワビまで入っているではないか。

このような本格的なおせちを食したのは、ン十年ぶりとも言える。
ありがとう、Mさん。

印象的だったのは、和やかな家庭の雰囲気。

ところで、人妻は宴の準備に起きて、お雑煮も出来て準備万端だったが、家族が一向に起きてこないのをぼやいていた。

「寝正月」というのは、日本の伝統的な正月の過ごし方でもある。
とりたててやる事も無しに、一日中ごろごろうとうとする幸せ。
慌ただしい日常を離れた、新年の醍醐味だ。

昼ごろ家族が起きてきて、Wiiなどを楽しみ、そして和やかな宴となった。

私は、日本の一般家庭を見学させてもらった外国人の気分である。
貴重なお正月風景!
嵐のファンの主婦と、夫と社会人の若い息子と、一人住まいの大学生の息子と、猫二匹の、良識ある家庭の、自然体の和やかなお正月。

年末も楽天で「グアテマラ伝説集」を注文して、ああだこうだ言っている謎の独身、一人暮らしの私とは、何と対照的だったことか。

人生は色々。
今年は、和やか生活を目標にするのも良いな、と感じた。
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by leea_blog | 2011-01-02 12:14 | Comments(0)

謹賀新年

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新年おめでとう御座います。

昨年は色々とお世話になりました。

本年もよろしくお願いいたします。
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by leea_blog | 2011-01-01 10:12 | Comments(0)