ラテンアメリカの作家

ニドは自分の仲間が風にさらわれ、水面の彼の守護神が火にさらわれて、ともども、稲妻に乗って天から落ちてきたとうもろこし畑のかなたに消えてゆくのを目にした。


そして一人ぼっちになった時、彼はあの「言葉」
—ある世紀に、幾世紀も続いた一日があった—
を生きたのだ。


始終真昼である一日、夕暮も曙もなく澄みわたった、無垢の結晶の一日。



    (M・A・アストゥリアス
    グアテマラ伝説集より「火山の伝説」 牛島信明訳)
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# by leea_blog | 2001-06-16 01:44 | Comments(0)

モロッコの作家

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扉を大きく開けて疑念と過ちを通し入れよと私は助言した。そうすれば、真実もまた入ってくるから。今こそ知るがよい、〈秘密の帝国〉はもはや、夢でも地平線に描かれた砦でもないことを。おまえがその夢、砦なのだ。触れることのできぬとらえがたいこの夢、私の手で刻まれた石、私の息吹でできあがる身体の、この夢の内部におまえはいる。夢でできた存在だけが、おまえに到達できる。私の根もとを成す物質が発する声だけが、おまえに届くことができる。心して待つがよい、前進する森の意志に宇宙が屈し、言葉とイメージの幻惑の中で砂が渦を巻き、永遠と至福のなかに日の光が沈むのを。おまえは見るだろう、力ある男たちが甲冑を投げ捨て、一本の木の前にひざまずくのを、騎乗の族長マー・アル・アイニーンが疾駆し、〈北〉へたどり着くのを、ついには幼年を映す鏡が生み出した夜に、おまえの顔が眼と詩を捧げるのを。祖先の誇りと心のざわめきに忠実であらねばならない。この誇り、このざわめき、この手がもとで死ぬこと—それは、おまえの祖先が十分に心得ていたことだ。


( タハール・ベン・ジェルーン「不在者の祈り」より
 訳・石川清子 )


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# by leea_blog | 2001-06-03 01:43 | Comments(0)

まどろむ

なかなか更新されない館に、さやさやとさやぎを取り入れてみようと、《ゆりのしとね》を作りました。


お見舞いには、百合の花は避けるべし、と言われます。香が強すぎるゆえだそうです。植物の芳香は何やら特別のちからがあるようです。
私としては、禁を破ってお見舞いに遣わされた百合の花から、深い安らぎを得たものです。

野山に、都市の路傍に、咲く百合は、「ヒト」の思惑なぞと無関係に猛々しく存在しており、はっとさせられます。

「ゆりのうたたね」のイメージ。。。


 疲れ果てた時、古い小屋にたどりつく。
    小屋には百合が一杯に自生している。
      しなだれた葉が、藁に混じりしとねの形に
くぼんでいる。
  見知らぬ地霊の休息場所か。


あるいは。
   百合がまどろんでいる、そばで眠りたい。。
     ゆり起こすと眠たげな。。。
       うつら うつら と うららかの 昼


  うたたねの吐息を聞いてみたいと思います。

ときおり、新刊ではない書物の一部も
ご紹介していく予定です。
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# by leea_blog | 2001-05-27 00:40 | お知らせ | Comments(0)

福袋初体験未遂 ロクシタン攻略編

初売りの情景は凄い。

冬物バーゲン初日と福袋販売が重なるので、デパートが立ち並ぶ辺りは凄い人出である。

実は、ワタクシも、生まれて初めて福袋を買いに出かけた!
福袋〜? いくらお得でも、気に入らない物が入っていたら意味無いでしょ? 、と、“気に入らない物”に対して冷淡なワタクシは、この歳まで福袋を買ったことがない。

最近は、何が入っているかあらかじめ開示して売るところも増えている。
買う人は圧倒的に女性だろうし、女性の感性は一般的に、細かいこだわりに満ちていたりする。ブラウスのそでのレースの色が好みと違っただけで、一度も着なかったりする。

口紅の色があれだけ種類が有るのを見ても、好みの細分化は男性にもお判り頂けるのではないか。「赤ならどれでもそんなに変わらないじゃん!」と思うあなた。オレンジ系の赤とローズ系の赤、ベージュ系の赤ではまるで別人になるのである。つや消しかつや入りか、パール入りかラメ入りかでも全然違う。

それ故福袋も、中身を見せるようになったのは時代の流れというか、現実のニーズに合わせてきているのだろう。

で、ワタクシが本日手に入れようとしたのは、ロクシタンの福袋である。フランスの入浴・癒し・ボディケア用品のメーカーである。ここのメーカーの物なら大体大抵が気に入っているし、消耗品だからお得であるにこしたことがない。

ロクシタンなんて贅沢? ワタクシは肌も髪も弱いので、どこのメーカーでも良いというわけには行かない。で、身につける物が割高感のあるものになってしまうのだ。

休日の割には頑張って早起きして、頑張って電車に乗った。車内は買い出しムード一杯。乗客の皆さんは福袋を売るブランドを表示したチラシなどに眼をやっている。この時点でバーゲン素人の私は負けていた。デパートで配布しているとおぼしきそんなチラシを持っていると言うことは、皆、昨年末から準備していたのだ。

さらに。デパートはいつもは10時開店だが、初売りに限って9時半開店なのである。10時開店だと思っていた時点で、私は出遅れている。

新宿、池袋、渋谷(多分銀座・有楽町も)あたりは、泊まり掛けで初売りに買い出しに来る人も多いらしい。改札を出ると、人波はデパートの売り場にぐんぐん吸い込まれてゆく。本当は、開く前に並んでいなくちゃ駄目らしい。

さらに失敗に気づいた。ハイヒールをはいていた。福袋&バーゲン目当てなら、ヒールの高い靴を履いていたらだだっ広いデパートを歩き回れないし、ましてやハシゴなんか無理である。大きな袋を幾つも抱えたお姉さま方の足下は、歩きやすそうな靴ばかり。

で、人混みに驚愕しつつロクシタンの売り場にたどり着いたが。売り切れていた。人気の有るブランドの福袋は、開店から15分ほどで完売御礼になるようだ。一人で幾つも買っていくのである。知人に頼まれたり、ネットオークションで売るのだ。

早起きが無駄になった。
がっくりしながら、コーヒーを飲んだ。
手ぶらで帰るのもナニなので、チョコレートと蜂蜜の福袋を買った。それにしても、すごい人出である。混雑した店内には至るところにミニ行列が出来ていて、私にはそれが何の売り場の何目当ての行列かもわからない。

新年の二日目だというのにこの熱気。圧倒されつつ嫌な気がしなかった。寝正月にせずに、早起きして買い物なんて、みんな勤勉だねぇ。購買意欲盛ん→景気良い→明るい感じ、である。

新春だし、何かきらびやかな物が欲しくなった。髪飾りを二つ買って、本屋に向かった。本屋の次にブックオフに寄った。ここも、人がどんどん吸い込まれていく。バーゲンやっているわけではないが、正月で手持ちぶさたな青少年に需要があるらしい。大掃除すると要らない本が出るから、それを売りに来る人も多いという。賢い商売である。

うーん。新春。
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# by leea_blog | 2001-01-01 00:00 | Comments(0)