再読・江戸川乱歩や夢野久作


過日、夢野久作の「あやかしの鼓」をご紹介しました。

夢野久作のデビュー作です。

他の選考委員が褒めちぎる中、
江戸川乱歩だけは、
なぜ他の選考委員が褒めるのか、全くわからない、という選評です。

小説の選考委員なら、
自分と異なる才能も、
見分けて認める能力が欲しいところですが、

江戸川乱歩は、
小説の才能が有りすぎるので、
別に選考委員の才能が乏しくても、
仕方ないかもしれません。


夢野久作も、江戸川乱歩も、
実に大輪の牡丹や薔薇や、
百合のような。


アイデアや設定は、
現代作家は進歩している訳ですが、
文章に立ち籠める馥郁たる香気は、

いくら設定に凝り、
奇抜なアイデアを練ったところで、
匂い立って来ません。

文章から匂い立つ香気や妖気は、
作家の骨の髄から出ているものだからです。



と、いう流れで、

また江戸川乱歩の再読に走っています。

「人間豹」と「孤島の鬼」を読み終わったところです。

乱歩の作品は、
過去日記にも色々ご紹介しております。

ブログ内検索をして頂ければ。

ただし!!!

拙日記では、
本のご紹介は、
基本的に、いわゆる「ネタバレ」です。

筋が分かっていても、
本を買って読む値打ちが充分にある作品ばかりですが、
「結末を言わないで〜!!!」という方は、
ご注意を。

「人間豹」に関しても、
後日、ご紹介します。


乱歩を再読して思うのは、

この、ぐいぐい深みにはまって行く語り口、

展開される異様な情景、

まったく古びていない!という事です。



書かれた当時のレトロな光景、風習も、

面白いです。


この、
生き生きとした異様な感覚は、
何であろうか?


「子供心」です。

夜寝る前に、
お父さんや、お母さんが話してくれるお話を聞き入る、
子供の心に、

大人が、引き戻されて行く感覚です。

乱歩の、名人芸な語り口で、

現代人の大人も、

紙芝居を楽しみにする子供に戻されてしまうのです。



さて、皆さんは、

子供の頃、

空き家や古い建物などを見て、

「どんな人が住んでいるのだろうか」、と、

気を引かれた事がおありと思います。


洋館、高い塀に囲まれて中が窺えない豪邸、

廃屋。


子供なら、冒険心をそそられる事でしょう。


乱歩は、

そうした、子供の頃の魂の深部に、触手を伸ばして来て、

読者を引き込みます。


例えば、

洋館に住む白髪白髭の老人、
その息子の怪人、
飼われている猛獣、
血塗れの美女。
乗り込んで行った青年は、
どんな目に遭ってしまうのか。

例えば、

高い塀に囲まれて中をうかがう事が出来ない豪邸、
白髪白髭の執事、
引き籠もりの令嬢は、黒い頭巾で顔を隠している、
両親は世を去り、
女中はお嬢様のわがままに耐えきれずに、
次々と辞めて行く、
そうした館に、
田舎から出て来た若い娘が、
女中奉公に行く、
仕事はお嬢様のお相手。。。
そのお嬢様は、、、、

湿度を持った文章で絡み付いてくる、

異様な世界。


「さあ、これからもっと大変な事が待っているのです、

主人公はどうなってしまうのでしょうか?」、的な、

芝居が掛かった語り口も、

もう大人で、人生にすれた読者を、

「どうなるの、どうなるの?

続きを聞かせて」と、

せがむ子供に戻してしまうのです。











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by leea_blog | 2018-02-28 21:27 | Comments(0)
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