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呪力の刃物と雨にけぶる臨海副都心

ここのところ、寝ない、食べないで雑事に振り回されている。
うぅ〜、表現関係ならまだいいんですけどぉ。

忙中閑あり。いや、例の如く「雑事多忙状態」を強制終了して、閑をむりやり創出した。
先週は、雨の中を、日本ナイフギルドのナイフショーに出かけた。美しいR嬢が同行してくださった。
国際展示場駅の会場周辺は、雨に降り込められ、白くけぶっていた。冬の色の海が広がり、人気の無い広大な敷地に小綺麗な灯りが灯る。ゆりかもめからの海の眺めは素晴らしい。変化する遠近感が、鬱屈を振り払う仕掛けのようだ。

日本ナイフギルドの、カスタムナイフ展示即売会は、遙か昔、詩人の宮尾節子さんに教えてもらったものだ。はじめて訪れた会場で、遠くから視線をよこす、美しいナイフを見た。今は無き“なぎ”あるいは“ナーギー”こと、ナイフ職人武藤氏作・正式名称サンクチュアリである。あの日私は、カスタムナイフの魔物世界に触れ、美しいなぎと出逢ったのだ。

昨年の事。失ったなぎの替わりに、繊細美麗なナイフを得た。薔薇闇にアップ済みの、仮名ルシエンこと、戸崎茂氏作・シャーロットスペシャルL.Nバージョンである。

先日のナイフショーで武藤氏の作品を見に行ったところ、氏はなぎの美しさにいまだに捉えられ悲しみに暮れる私のために、売却済みの同型ナイフを買い主さんから借り受けて来てくれた。武藤さん、ありがとう!
なぎと同型のもの、それでも一点一点手作りのため微妙になぎとは別人のナイフと、付属の晴らしい鹿革ケースを手にした。これほど手に馴染む重心を持つものだったとは。記憶以上に美しく実用的な刃物であった。

ああ、行方不明の恋人を嘆くに似て、再び私は嘆きに捉えられた。もはや、会場中の、精魂込めた刃物を見て回っても、私の心はなぎへの思いに曇り、晴れなかった。これだけ刃物が揃っても、なぎほど素晴らしい子は一人もいない、と確認するようなものだった。

仮名ルシエンは、そんな持ち主を見て、どう思ったであろうか。多くの中から選ばれ、請われて、りーあ好みに装いを替え、ようやく女主人の手元に渡り、愛を注がれるかと思えば。女主人の心には前の恋人が深く深く住み付いていたとは。

心の中で仮名ルシエンに「済まぬ」と謝った。「納得が行かないだろうね、美しいお前。だがわたくしは、丹生河上神社の砂を家の四方に撒いて清め、手元に迎えたなぎが忘れられないのだ。お前の造り主も、これを知ったら悲しむかも知れないね。実家に戻ると言ってはいけないよ。わたくしにはお前も必要なのは確かなのだから」

と、激しくアブなそうなコレクター振りを晒してしまったが。

今日も実家に帰った。そして、もしかしたら。必死の捜索も虚しく混乱の中で失われたと思われたなぎと、もしかしたら再会できるかも知れない、と思う予兆があったのだ!

それと共に、本日は長年の超絶雑事懸案問題も。やっぱり私が正当である事を、上部機関もひっそり認めてるらしいと、こっそり確認させてもらえなくもなかった。

表現者って、孤独に強くて激しくねばり強いんだよ。


と、いいますか、官庁様、これ以上被害拡大させずに自主的に真相解明して裁判を避けてよ〜。
by leea_blog | 2004-11-05 22:42 | Comments(0)
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