2016年 09月 26日 ( 1 )

「三つの小さな王国」 スティーブン・ミルハウザー 出来のいい小説が心を掴むわけでもない話


私は書物に対して嗅覚が働く方だが、
もちろん「失敗」もある。

失敗とは、
「金返せ!」と言いたくなる書物である。

ゆりのうたたねでは、
面白かった本を取り上げて、
つまらなかったものはなるべく書かない方針である。

つまらないものをつまらないと書くのは、
実に気分が悪いだけで、
建設的ではないからだ。

ただ、ハズレでも
色々心に引っ掛かった系のものは、
挙げておこう。

積ん読状態だった本の山から、
取り上げた「三つの小さな王国」。
スティーブン・ミルハウザー著。


帯を引用しよう。

「芸術の域に高められたアニメーション、塔の王妃の懊悩、呪われた画家・・・・
ピュリツァー賞作家が紡ぎだす蠱惑的な夢を精緻な名訳で贈る。

アメリカ最後のロマン派による繊細にして夢幻的な小説世界!」

こう書かれては、
買っちゃうよね。


ところが、
読み始めてから早々に、
売り払う事が脳裏をよぎった。

思い出した。

この著者の「バーナム博物館」も、
売却したのだった。


私がいかにも好きそうなテーマなのに、
この、消化不良MAXな気分。。。。

試しに、ネットで一般読者の感想を検索してみた。

あれー?
絶賛している人、多いですね。


この本は、
私にはハズレだけれど、
大当たりな読者も多数居るらしい。



なぜ私が面白がれなかったのか。

多分、短編小説としては、
上手く出来上がっているし、
引用したい所もままあるし、
文章力は安定しているし、
読後、人に話したくなるし、

そういう点では、文句は無い。


「減点法では減点されない」本だが、
私にとっての問題は、
「突出している何かが欠けている」点だろう。

私の求めるものは、
仮に減点されまくりでも良い、
突出しているものが有って、
それが文体から立ちのぼるとき、
麻薬となるようなものだ。

ミルハウザーの本が高い評価を得るとしたら、
それは、私にとって生きにくい文学界だろう。


ただ、これほど読みたい題材なのに、
私にとって手元に置きたい本ではないのが、
何か引っ掛かり、
同著者の
「ナイフ投げ師」も買った。

気力の有るとき読んでみよう。

もう一冊買わせる所は、プロとして成功だろう。


この本を読んで、思い出した事が有る。

大学に入学し、
文学クラブに入ろうと思い、部室を訪問した。

部員は出払っており、
クラブの出している
冊子をもらった。

それには、部員の作品が載っており、
それが選ばれた選評も載っていた。

選者は、その作品が、
他の候補作と比べて「一番傷が少ない」作品だから選んだという。

大学生の文学という、
別に金をもらおうというわけでもない世界で、
文学に対し、
傷が少ないという評価基準に驚愕し、
そういう選者を選んで選評をしてもらおうという学生に、

かかわり合いになりたくない思いが湧き上がり、
二度と部室を訪れる事は無かった。























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by leea_blog | 2016-09-26 18:49 | Comments(2)