2018年 05月 01日 ( 1 )

女人幻想・耽美作家 ピェール・ルイスの「妖精たちの黄昏」 宮本文好訳 


古本市の面白さは、
「思いがけない掘り出し物」にある。

インターネットにより、
古書検索は容易になった。

が。

検索は、
今現在、自分が関心を持っている事しか検索しない。

アナログの書店、古書店は、
「思いがけない出会い」に満ちあふれている。


と、いうわけで、

古本まつりで手に入れた「妖精たちの黄昏」、
ピエール・ルイス作、宮本好文訳をご紹介しよう。

帯文は、以下。


ーーーーー

若くして天才を謳われながら、
盲目となって孤独の中に一生を終えたフランスの詩人・作家ピエール・ルイスが、
独自の象徴的イメージの元にギリシャ神話を美しく磨き上げた永遠の愛の物語。

彌生書房刊
ーーーーー


ピエール・ルイスは、
エロティシズムに満ちた女人美を追求した、
詩人・作家で、

日本では「ビリティスの歌」で知られている。

ワタクシのおすすめは、
「アフロディテ」である。


退廃耽美。磨き抜かれた表現。


過去日記でも、ご紹介している。


拙ブログは、セキュリティーの観点から、
直接リンクが貼れません。

URLをコピペして、該当日記に飛んでくだされたし。



「ビリチスの凱歌」(鈴木信太郎訳)
    ↓

https://leea.exblog.jp/96002/


ピエール・ルイス「アフロディテ」より(沓掛良彦訳)

    ↓
https://leea.exblog.jp/96022/


ピエェル・ルイス「ビリチスの歌」訳比較 三島由紀夫
   ↓
https://leea.exblog.jp/96019/




ピエール・ルイスとは、

どのような作家だったのか?

通りすがりの皆様にも、
すぐに想像がつくよう、

短編集「妖精たちの黄昏」の、

訳者後書きを一部引用してみよう。


以下。



ーーーー

最後に、ベストセラーを追求する出版界の趨勢に押し流されるままに、わが国の読書人の眼には遂に触れることすらなく、光を忘却の大海に没して行く運命にあったルイスのこの数個の真珠を、計数を度外して拾い上げてくださった彌生書房に、心からなる敬意と謝意を表するものです。

昭和三十二年九月三日    訳者

ーーーーー



日本では決してベストセラーにはならないタイプの、

真珠のような作品を書く作家であり、

訳者と出版社が、

売れない事を覚悟した上で出版するたぐいの、

マニアにとっては、

「こういう本を読みたかった!」

という作家である。


昭和三十二年のこの後書きを読んで、

いつの時代も、

出版社はベストセラーを狙うばかりで、

良心的な本は、

なかなか流通経路に乗らなかったのが、


そして、

作者や訳者、読書人は、

それを歯がゆく思い、危機感を抱くのも、

2013年の今と同じなのだ、と分かる。


四半世紀を経て、

改訂版が出、以下の後書きが追加された。


ーーーー
改訂に際して


原著者ピエール・ルイスは、二十五年前には、日本ではあまり読まれる作家ではなかったし、今も、その事情は悪くなりこそすれ、好転するはずもない。
それを思うと、四半世紀の昔と今と、両度にわたる彌生書房の勇断には、数少ないであろう読者と共にひたすら深謝するほかない。

昭和五十七年九月   訳者


ーーーーーー


うむむ。。。


「二十五年前には、日本ではあまり読まれる作家ではなかったし、今も、その事情は悪くなりこそすれ、好転するはずもない。」


好転するはずもない、とは、

随分悲観したものだ。。。。



「こんなに良い作品は、良過ぎて逆に人に理解されない」。。。。

という、悲しみがこだましている。。。






「ビリティスの歌」は、


多くの邦訳が出、

少女美を追求した写真家の、

デビット・ハミルトンに依って映画化された。




当時、デビット・ハミルトンの少女写真は、

特に耽美ではない普通の人々にも親しまれ、

大変知名度が高い写真家だ。



「ビリティスの歌」は、

特に耽美ではない普通の高校生、大学生も知っており、

耽美な読書人は、

ピエール・ルイスの他の作品群も知っていた。




と、

私の若かった頃は、

頽廃耽美系の読書人にとっては、

「ピエール・ルイス」は、

好き嫌いはあるとしても、

メジャーな作家であった。


例として、以下のような会話がなされた。
 
 「バタイユが好きだな」

「いや、私はどちらかというと、マンディアルグやピエール・ルイスの方が好み」




時代が下ると、

「耽美小説」の意味するものが変わった。。。


やおい小説、ボーイズラブ小説、

要するに、女性による、女性向けの、

美形男子同性愛小説を意味するようになっていった。。。



現代では、

読書傾向、作品傾向を語る時、

「頽廃耽美系です」と、

うっかり言ってはならないのだ。

ボーイズラブだと思われてしまう。。。。


昔と、耽美小説の意味が違うのだから。。。。




ちなみに、「同人誌」も、これもまた違った印象で受け取られる。

現代詩の発表研究は、おもに「同人誌」で行われるが、

世間一般に「同人誌やっています」というと、

BL、つまり「ボーイズラブ系」の活動をしている、と、

受け取られる。。。。

「純文学・現代詩の同人誌」と、

いわないとならない。。。




話は戻って。


ピエール・ルイスの知名度と、

読まれる読まれない、でいえば。




インターネットの普及に依り、

好転していると思うのだ。




ライトな感覚の文体が主流となっている平成、


出版社の姿勢に納得がいかないマニア系読者は、


やはり、文体がしっかりした純文学を探し、


絶版本の情報蒐集、取得が、

ネット検索で格段に容易になっているからだ。



例えば、


「昭和の頃、ビアン系耽美のビリティスの歌というものがあったらしい。

検索してみよう。

ほう。映画化もされたのか。

訳によって印象が違うのか。

作者はピエール・ルイスというフランス人で、

他にはこれこれこういう作品もあるのか。

現在絶版だが、古書店では売っているだろう。

どこでいくらで買えるか。

検索、検索。。。」というぐあいだ。












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by leea_blog | 2018-05-01 17:36 | Comments(0)