2018年 11月 29日 ( 2 )

まれびと冊子【揺蘭】みどころなど・その2



【天野清二】さんは、
毎回、二ページだけで参加している。

短い、削ぎ落とされた言葉で、
淡々と綴る。

それは、余計な押しつけのない、
屋根裏の天体望遠鏡で星の運行を測る人の背中を思わせる。

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頭の裏側から
夜が忍び込む。

(「不眠の夜」より)

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太陽は西の空に
ひっかかったまま止まり
でも今は
壁の中で暮らしている。

(「壁の中で生きる」より)

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天野清二さんがどのような詩人なのか、
実は編集人も知らないのだ。

いつも、
二ページだけ、作品が、
編集人の元に届く。

今号に載せた作品も、

世俗の事を書いているようで、
世俗と一線を画して、
線の向こう側から世俗の事柄を見ているような、

ひょうひょうとした文字使いの詩である。


【玉田晃平】さんは、
兵庫の詩人である。

連作詩「深夜の航海日誌」は、15号で三回目の連載だ。

13号に掲載された初回を、是非読んで頂きたい。


ーーーーーーー

扉のそばの舷窓に そのような

目に見えぬ程の罅が在る

その窓から見る船室の中央には

降りしきる雨の中に立つ一本の樹がある

天井には曇天模様の空が広がり

雨粒の滴り落ちるフローリングの上には

陽射しの降り注ぐベッドが浮かんでいる


ーーーーーー


夜、海、浮かぶベッド。

西野りーあの世界と、呼応するかのようなキーワードが並ぶが、

玉田晃平さんの連作は、


深夜を航海する船の、船長、
あるいは、
洋行するいにしえの日本人が船中で遭遇するような時間だ。


海上でであう眩暈の時間は、
内と外が交錯し、

降り注ぐ雨と日差しが同時に出現する。

船室に、降りしきる雨に立つ樹があり、
同時に日差しの降り注ぐベッドが浮かぶ。

深夜に味わう、香り高いウィスキーを思わせる。



(他の執筆人の紹介に続く)








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by leea_blog | 2018-11-29 20:33 | Comments(0)

まれびと冊子【揺蘭」5号・みどころなど

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一年に一回、まれびとのようにやって来る、
幻想詩誌、【揺蘭】。


出なかった年もあるので、
15年続いている。

【揺蘭】は、
個人誌の集合体のような作りである。

自分の頁を、自由にレイアウト出来る。

ゲストを呼びたければ、
自分の頁内で、
自由に呼べる。


今回、編集人のエッセイには、
画像のゲスト参加を頂いた。


おそらく、日本の詩人は誰も見たことが無いような、
人形画像である。


人形とのバカップル振りを詩誌に残すのは、
しかも14号、15号と連続で掲載するのは、
正直なところ、悩んだ。


赤裸々過ぎる!

本場台湾から、画像提供の申し出が無かったら、
今回の馬鹿エッセイ、

「紅蝶の人・人形愛伝説
−人にはあらず花に似るー」は、

お蔵入りだったであろう。



そんなりーあの密かな懊悩をよそに、
他の参加者が、
力作を載せてくれている。


掲載順に、
福岡の詩人、
【日嘉まり子】さんから紹介しよう。


ーーーー

底なしの井戸の中を落ちてゆく、一糸まとわぬ女の、左胸の三日月形の、赤い
傷口を、覆い隠すように追う、薄桃色の牡丹の柄の着物は、海中の章魚の伸び
やかな舞いさながら、また花の蜜を慕う蝶のようでもあった。
蝶たちは死者たちに降り注ぐ雨、すなわち魂を潤す祈りそのものだった。

(名もない死者たち(女たち、その一)冒頭)


ーーーーー


名もない死者たちの物語が、色彩と濃厚な芳香を放って繰り広げられる。
日嘉さんの詩には、
痛みと苦しみが底流にある。

それは土着の伝説のように煮詰められ、
昇華されている。

日嘉さんとは、
ビジュアル詩展のパリ出張版で、
出会った。



日本に帰国してから詩を見せて頂いた。

その才能に、驚いた。


「これは、誰の真似でもない、
地霊から力をもらっている系の詩を書く人だ」、と思った。



(他の執筆人紹介に続く)






















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by leea_blog | 2018-11-29 19:56 | Comments(6)